生薬のひとつでもあるエゾウコギは、昨今、中高年層の方や女性の方々から
注目を浴びている薬用植物の一種です。
体にいい成分がたくさん詰まったエゾウコギは、オタネニンジン(朝鮮人参)や
ウドと同じウコギ科ですが、その中でもウコギ属に分類されます。
エゾウコギは根・茎・枝や葉に成分が多く含まれ、さまざまな健康補助食品に用いられています。
エゾウコギとはそもそも何?
1960年に旧ソ連アカデミーのブレフマン博士によって発見され、日本では・・・
1973年頃に北海道の北見・帯広など東部に生育していることが認められました。
抗酸化作用があるポリフェノール化合物を多く含み、さまざまな効果が期待されている他、
免疫力を高めるといわれているンドβ-エルフィンの分泌を促す有効成分・イソフラキシジンを
たっぷり含んでいます。
β-エルフィンって?
脳下垂体から副腎皮質ホルモンとともに血液中に放出され、苦痛を軽減したり
多幸感を与えたりするストレス抵抗作用を持つと言われています。
マラソンやウェイトトレーニングなどによって分泌され、旨味のある物を口にしたとき、
アナンダマイドと共に放出され、持続したおいしさ、陶酔感、満足感などが生じると言われ、
β-エンドルフィンが心身の苦痛やストレスを和らげると考えられています。
多くのスポーツ選手や宇宙飛行士も愛用されています。
女性には嬉しい作用効果とは?
エゾウコギにはピノレジノール・ジグルコサイドという成分が含まれており、
体内で女性ホルモン様作用をもつエンテロラクトンに変わるとされています。
年齢が上がるにつれてどんどん減っていく女性ホルモン。
そんな女性ホルモンを補うと期待されて、更年期障害や骨粗しょう症の予防、
男性の前立腺がんの予防にも期待されています。
エゾウコギは幻の薬用植物と言われる理由は?
エゾウコギは「幻の薬用植物」とも呼ばれ、ロシア、中国、日本(北海道)の三カ国のみに
自生する希少価値の高い植物です。
寒暖差60℃以上にもなる寒冷地のみに自生しています。
そんな厳しく過酷な環境下で育っているエゾウコギには、
環境適応力と恒常性維持機能へ大きな期待がされているのです。
ロシア、中国では2000年ほど前から、滋養強壮の生薬として重宝されてきました。
抗ストレス作用、身体の代謝と持久力、免疫力、記憶力、更年期障害、各障害の予防、
血管弛緩作用、メタボリックシンドローム抑止 など・・・・
その希少価値の高さは折り紙つき!
日本では江戸時代に栽培を奨励
日本では江戸時代、米沢藩・上杉鷹山氏が各民家でエゾウコギの栽培を奨励したと
言われています。
自然災害の多い日本ならではの考え方で、天変地異や天候不順による農作物の収穫が減少、
食糧が不足した際に、劣悪な環境下でも育ち、栄養価の高いエゾウコギの新芽や根、葉を
食材とすることで飢饉を乗り越えるためだったとか・・・
実際にエゾウコギを食用として、飢饉を乗り切った事例もあるようです。
期待される効能
エゾウコギに含まれる有用成分が「エレウテロサイド」と呼ばれる配糖体です。
特にエレウテロサイドB1前駆体と考えられる特有の成分「イソフラキシジン」は、
現代社会に生きる現代人のリフレッシュ対策として、世界でも注目されています。
栄養学的エルゴジェニックス(運動能力増強剤)。
免疫賦活作用。
滋養強壮やスタミナ増強。
作用メカニズム
有効成分としては、エゾウコギに特有な配糖体の他、クマリン誘導体、セサミンなどのリグナン類、
ステロール配糖体、テルペン類などがあり、これらの成分が、さまざまなホルモンの受容体に
結合することで効果を発揮すると考えられています。
科学的根拠はあるの?
エルゴジェニックスとしての評価は、旧ソ連において行われた臨床試験に基づいているようです。
サプリメントのうちでも特に、勝つこと、競技力を高めることを目的として開発されたものに
エルゴジェニックエイドがあります。
身体運動機能を高める補助剤であり、一般に栄養補助食品を中心としたものです。
摂取することにより、身体機能あるいは競技能力を高める効果をうたった食品または
関連経口摂取の総称になります。
エゾウコギによって、持久力などが向上したとする研究が報告されている。
旧ソ連での臨床試験において認められた効果や効能は、近年の研究からは支持されていない。
エルゴジェニックスとしてのエゾウコギについては、臨床試験のデータがまだ十分とはいえない。
また、免疫力を高める作用に関して、36人の被験者にエゾウコギを4週間投与したところ、
免疫担当細胞であるTリンパ球やNK(ナチュラル・キラー)細胞が増加するというデータが
示されている。
まとめ
この他にも現代人に不足しがちな食物繊維、カルシウム、またポリフェノールの一種
クロロゲン酸などの有用成分を含んでいます。
食べ物だけでは補えない特有の成分は、自然界の中で活きる植物には備わっているのですね。
ここで要注意なのは・・・
エゾウコギを「シベリア人参」としている製品があるようですが、分類学上、
同じウコギ科であっても、エゾウコギは高麗人参(朝鮮人参)などとは属が
違うため、いわゆる「人参」類とは区別されるべきである!
と言われています。
実際、有効成分も大きく異なる。
そのため、2002年よりアメリカでは、エゾウコギをシベリア人参とは表記しないことになっています。
一般的に、特に問題となるエゾウコギの健康被害や副作用は知られていないようです。
日々の暮らしに、自然界の有用な成分を補いながら元気に暮らしてゆきたいですね。